セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第1回:親が入居したい施設と子どもなどが入居させたい施設 〜 お金があるだけでは、親の希望が叶うとは限らない

昨年は、介護付有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)、ケアハウスなどの高齢者施設を39箇所、今年も10箇所以上見学しました(平成23年3月末現在)。一昨年までも10箇所以上見学しており、少しずつですが実態も分かってきました。最近は認知症の人や家族からの施設がらみの相談も増えています。
今回は、相談の現場から学んだ高齢者施設入居にまつわるお話しをしましょう。セカンドライフにお金は欠かせませんが、豊かな人生はお金だけでは満たせないこと、少しでも分かってもらえたら嬉しい限りです。


知らない間に高齢者施設に入居させられた

介護付有料老人ホームなどの高齢者施設に入居した人の場合、すべての人が自分の意思で入居した人ばかりではありません。中には既に判断能力がない状態で入居した人も多いからです。

脳梗塞で倒れた後要介護度2状態になり、気がついたらある介護付有料老人ホームに入居していたAさん(75歳)の場合でお話しします。Aさんは自宅以外にもマンションなど資産を所有し、年金も高額、預貯金もかなりある財産家です。しかし、家族が入居させた施設は、Aさんが元気なら入居したいと思う施設ではありませんでした。Aさんは、執念でリハビリを実行した結果、予想外に回復し、ホームを出て新しく1人暮らしを始めました。

ホームに入居中に、子どもが管理していたAさんの財産と年金口座の通帳なども取り戻し、今では、自立してごく普通の生活をしているAさんのケースは、ごく稀かも知れません。しかし、これと似たケースは誰にも起こりうることです。


親が入居したい施設と子が入居させたい施設


親子の関係は歳月とともに変わります。親が高齢になり、子にも守るべき家族ができます。 親のお金は、いずれは相続財産として子に引き継がれていきます。親が蓄えたお金を自分のために使えば使うほど、子に引き継がれる相続分が減ります。お金に関しては、親と子の利害関係は一致しないと言う訳です。だからこそ、時として、施設選びのとき、親が元気だったら希望しないであろう施設に、子が親を入居させるケースも有りうるのです。

潜在的にある子の気持ちには、

  1. 介護の内容や施設の状態など、判断能力がない親に分からないので、どの施設でも同じ
  2. 相続分を減らさないために、入居一時金や毎月の管理費など、コストを押さえたい
  3. 施設のレベルより、家族が時々通うのに交通の便がよいところがよいなどです。

実際に施設見学で感じるのは、待機待ちが多い人気の施設イコール良い施設とは限らないことです。廊下や室内が汚く、臭気が充満していている施設でも、上記の子どもの気持ちに添う施設は人気だからです。私が親世代なら絶対に入居したくない施設でもです。 特に、高めの高齢者施設が多い地域(都内23区など)に在住の人から見ると、郊外の地域はまだまだ安めなので人気と言うわけです。

介護付有料老人ホームの費用もいろいろ 〜 金額だけではないので、見学を必ずしたい

A 入居時・要介護 多摩市
入居一時金 78〜
90万円
管理費・月 198,00〜
211,000円
広さ 18.0〜24.9u
要介護者対応 2:1
B 入居時自立 松戸市
入居一時金+
介護金等
4,024〜
7,054万円
管理費・月+
水道光熱費
303,325円
広さ 42.84〜72.12u
要介護者対応 1.5:1
C 入居時 要介護 川崎市
入居一時金 580〜
1,250万円
管理費・月 177,500〜
237,500円
広さ 15.00u
要介護者対応 2.5:1

※ 事例はいずれも1人分、プラス介護サービス1割分必要

高齢期の楽しみの1つは食事、ぜひ食事は試食しましょう。味付け、食器、食堂の雰囲気、食堂などで働く職員の服装、食堂のメニューなど合せて確認しておきましょう。


普段の生活の中で、気持ちを伝えておこう! 〜 思いをカタチに

「お金があるから、介護が必要になったときや病気などで治療が必要になったときなどのイザというとき、子どもや周りが何とかしてくれる!」は、今の時代、幻想になりつつあります。日ごろからどうして欲しい、何か起きたときの対処の仕方の希望など伝えておきましょう。家族だからこそ、具体的なことを話しておきましょう。延命治療の有無、して欲しい介護等について、自分の思いをメモやエンディングノートなどでカタチにしておくのもいいでしょう。

家族に期待するのが難しい場合は、成年後見制度などを利用して専門家に依頼してもいいでしょう。もちろん、専門家に支払う費用が発生しますが、快適なセカンドライフを送るためのコスト意識も持ちましょう。目先の費用を惜しむのか、かなり続くセカンドライフ後期の生活の質を取るか、あなた次第です。自分で判断できるうちにいろんなことを決めて、目標に向かって少しずつ行動がベストかも知れませんね。



執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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