セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第21回:「バリアアリー」の高齢者施設見学記
       〜 夢のみずうみ村・浦安デイサービスセンター

これまで私は地域の仲間と高齢者施設の見学を150箇所くらいしています。また成年後見人を複数受任しており、うち3名は有料老人ホームやグループホームに入居(入所)しています。多分、普通の人より障害者や高齢者など利用者の実態の現場を身近に知っています。そして、そうした訪問や見学でいつも感じるのは、一見恵まれた施設内で暮らしていらっしゃる高齢者などが、あまり幸せそうに見えないことです。

しかし、介護の現場でも少しずつですが「目からウロコ」の取り組みも始まっています。そこで今回は、障害者や高齢者など利用者が生き生き暮らしている、夢のみずうみ村・浦安デイサービスセンターをご紹介します。本人にできることはできる限り自分でやっていただこうという趣旨で開設したバリアアリーの施設です。

そもそもバリアアリーって何?


バリアフリーとバリアアリーとは?

バリアフリーと言えば、施設面では、障害者や高齢者などが移動しやすいように道路などの段差をなくす、車椅子が通りやすいように階段をなくして緩やかなスロープにする、廊下やトイレ、お風呂などに手すりをつけるなどが思い浮かびます。一方、障害者や高齢者などの支援では、施設側のスケジュールに添った入浴や食事や行事などが、本人の意思にお構いなく手際よく進みます。本人の可能な能力を活かすことより、本人の能力の不足を職員が手際よく補う支援なので、一見ことがスムーズに進みます。一方夢のみずうみ村のバリアアリー(有りー)は、段差、坂、階段等日常で遭遇する可能性のあるバリアを意図的に配置し、自宅でも快適に暮らしてもらうために「生活がリハビリ」を実践する施設です。


夢のみずうみ村・浦安デイサービスセンターの場合

夢のみずうみ村の主な特徴は、1)施設運営のユニークさ 2)サービスの提供の仕方 3)施設の体裁 4)男性利用者の多さ(見学日の利用者80名弱・うち男性約6割)です。

1 施設運営のユニークさ

多くの高齢者施設では、施設見学自体は無料でホーム長などが案内してくれ、ランチ試食を希望すれば実費を支払うのが一般的です。しかし、みずうみ村では、見学者が施設見学料を支払い、水先案内人(施設利用者)が施設内を案内してくれます。見学者は施設内にいる職員に質問も随時可能。実際に当日の受付は左麻痺の男性、水先案内人は右麻痺の男性がしてくれました。基本は、職員が本人のできること、できないこと、やりたい気持ちを見極め、本人に寄り添って支援する姿勢です。

参考:
施設見学料 半日コース 1人2,000円
1日コース  1人3,000円
見学者のランチ試食は原則できません。

2 サービスの提供の仕方

施設内通貨ユーメ

施設内通貨「ユーメ」

夢のみずうみ村の一番の特徴は、一日の予定を自分で自由に決めることです。プログラムは、カラオケ、カジノ、パンづくり、陶芸、木工ろくろ、入浴、プール、昼食バイキング、料理教室など多数。人気は施設内通貨「ユーメ」を賭けるカジノと、豊富なメニューと野菜が多い、食材と味が人気のランチバイキングだそうです。入所時に1人ユーメ4,000円を配給され、水先案内人、握力をつけるゲームなどにトライしてユーメを増やし、施設内のお風呂やプールなどの利用時にユーメで支払い、不足すれば施設の銀行でユーメを借りることもできるとのことです。

◆朝9時30分ころ着いたら、自分で今日やるメニューを決めます

一日の予定表

人気の野菜一杯のランチのバイキングの見学当日のメニューは、煮物、アジフライ、サラダ、おひたし、デザート、ご飯、おかゆ、玄米、ナス入のみそ汁、デザートと、どれも手抜きなしの手作りで食べ放題です。もちろん、利用者の反応は大満足、取り過ぎと思われる量を皆さん完食していました。さらに感動したのは、片マヒの人も車椅子の人も自分で並んで料理を配膳していることです。職員が本人に足りない分を気長に支援して、配膳台を上手に利用しテーブルまで支援します。そして、何より感動したのは、体の不自由な人が自分でやりとげるまで、皆さん列をくずすことなく待ってあげていることです。ここでは一人一人の心を大切にしながら、穏やかな時間が過ぎています。

◆ランチのバイキング  〜 野菜が多く、美味しいと評判

ランチのバイキング・配膳台

◆生活がリハビリ   階段と歩くプール

階段・歩くプール

3 施設の体裁

施設の体裁

見学前は、夢の・・・とあるので、広い敷地に緑の自然が広がっている施設をイメージしていましたが、住宅街にある建物で期待は外れました。が、実際に施設を見学してこれまでの高齢者施設と違う感動を受けました。

バイキング料理が並んだ周りをみても分かるとおり、施設のほとんどが見渡せる作りで、いろんなところで利用者が勝手に行動しており、ときに利用者が先生になって他の利用者と一緒に活動などしています。職員は随所で支援しており、施設全体に機械の音や人の話し声、音楽が聞こえてきます。施設内は廊下も壁も、家具も、訓練具も豪華でないけど温かみが伝わってきました。お金と知恵と情熱をかけて作ったという施設の意図が伝わってきます。訓練具や説明などのネーミングや表示もユニークで楽しくなります。
なお、今回は人物を省いて撮影していますが、実際は施設内を利用者は自由に活発に行動しています。


デイサービス利用料 要介護2・週2回利用で月約9,000円

デイサービスとは、施設に通って受けるサービス(通所介護)です。要支援1・2の人や要介護1〜5の人が食事、入浴など日常生活の支援を日帰りで受けます。夢のみずうみ村の場合、自立と判断された人も可能です(費用は実費負担)。ちなみに当日案内していただいた要介護2のAさん(50代)の場合、週2回利用(食事込)で月約9,000円の負担とのことです。

利用料

要介護

基本料金 要介護1 709円 1日につき
要介護2 803円
要介護3 963円
要介護4 1,092円
要介護5 1,220円
加算 入浴介助加算 50円 1日につき
個別機能訓練加算T 42円
個別機能訓練加算U 50円

要支援

基本料金 要支援1 2,287円 1月につき
要支援2 4,319円
運動器機能向上加算 225円 1月につき

※食事650円、送迎費1キロ10円は実費。


セカンドライフこそ、やりたいことを自分で楽しむ発想が必要かも!

人生を楽しむ生き方に繋がるかも・・・

私たちは、ともすれば高齢になり、病気になったりすると全てに受け身になりがちです。それは、一方で、まだ使える機能や可能性のある機会を諦めることになります。
今回の施設見学で、不自由な足でひたすら1人歩くことに専念する男性や、気の遠くなるような根気のいる細工を片手で作り続ける女性をみて、自分で決めて実践する素晴らしさに気づかされました。皆さん、今日一日自分でやることを決めて、自分で実行しているからこそ継続できるのでしょう。そして、皆さん、施設には仲間がいるからでしょうか、生き生きしていました。

セカンドライフも同じですね。バリアアリーは何も段差、坂、階段と目に見えるものだけではありません。高齢期だからこうあるベキという「心の壁」はありませんか。今からでも自分でやりたいこと、やれることに積極的に挑戦してみるのもいいでしょう。ひょっとしたら、まだまだ自分が知らない能力を開発できそうです。長い人生、自分の心に正直に楽しんだ者勝ちかも知れません。


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

ページの先頭へ

Copyright(C) NTT IF Corporation