セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第25回:年金情報、正しく理解しないとソンをすることもある
       〜 届いた書類や日本年金機構のHPなどじっくり読んでみよう!

年金を仕事にしている私でも感じるのは「年金は本当に複雑で難しい」ということです。
ましてや初めて年金を請求する人が、その請求などで困惑するのも無理はありません。
そうは言いながら、似たケースで誤解されていることが多々あります。今回は高齢期によくある年金の誤解例を、日本年金機構がホームページで掲載している例や、送付されている書類、日頃の相談事例などを参考にお話ししましょう。特に平成25年度に60歳になる男性の年金受給開始年齢は61歳、今までの常識が通じないこともあるので尚更です。
日本年金機構もいろいろな事例で誤解がないようパンフレットで広報をしています。ぜひ参考にしていただけたらと思います。

よくある誤解による相談事例などが日本年金機構のHPに掲載されているよ。年金請求するとき困らないよう、情報は先取りしておくと安心だね!


まずは年金のしくみの理解、そして他人と比較しないこと

高齢期の生活保障は公的年金がベースなのはご存知の通りです。迷ったときやわからないときは、ご自分で勝手に判断せず年金事務所などに気軽に相談されるといいでしょう。自分や配偶者の加入した年金や加入期間、生年月日などで受給年金や額が異なるからです。

私のところにくる相談事例をいくつか紹介します。

事例1 在職中なので退職後に請求しても同じ?

既に年金の受給資格があり請求できる年齢になっている人に多いのが、「在職中は年金を請求しても全額停止と会社に言われたので退職後請求しても同じでしょう」という質問です。

在職中の老齢厚生年金は給与などにより一部または全額減額になる場合があります。よくあるのが遅く請求すれば停止されていた年金が退職後受給できるという勘違いです。年金の請求を遅らせても停止されていた年金を過去に遡っては受け取れないこと知っておきましょう。
逆に、年金の請求が遅れ定額部分支給開始後に請求した場合、本来なら定額部分が支給されるときから加給年金が加算される人に書類の不備によるで加算漏れも時にはありますので、注意が必要です。
高齢期は予期しないことも起こります。例えば夫婦のどちらかが介護が必要になった場合、自宅を留守にできないので年金請求が遅れがちです。年金の請求の時効は5年です。年金の請求を先伸ばしにするメリットはありませんので、受給資格期間を満たし受給年齢になったら即請求しておきましょう。

在職中でも年金の「受給資格期間を満たし」年金請求できる「年齢」になったら、年金の請求手続きをしておこう!予期せぬことがおこりやすい高齢期こそ先延ばしにしないが基本。


事例2 老齢基礎年金を67歳0ヵ月で繰下げ請求 ・ 振替加算が加算される人

今まで年金に興味がなかった人も、身近な友人の配偶者が亡くなったりすると遺族年金額が気になるようです。ましてや「遺族年金額が期待していた程でなかったわ!」と友人から聞けば、ますます自分の身に置き換えて不安になるのは当然。B子さん(64歳)もそんな1人でした。

夫が万が一の場合、65歳からの年金を繰下げ請求して将来に備え年金額を増やし方がいいのではと相談に来ました。繰下げ請求とは65歳からの年金を66歳以降希望する時期(請求した翌月分)から年金を受け取る制度です。

増額率=繰下げた月数×0.7%(昭和16年4月2日生まれ)

仮に、繰り下げ請求をしたB子さん(64歳・昭和24年4月2日生・国民年金40年)が、67歳0カ月で繰り下げ請求して以降に、夫Aさん(年金受給者・昭和22年4月2日生・厚生年金40年)が死亡した場合、年金の受給は下図のようなイメージになります。

B子さんの受給年金・増額されない振替加算も基礎年金と同時に繰下げ 図1

B子さんの受給年金・増額されない振替加算も基礎年金と同時に繰下げ 図2

繰り下げ請求の注意点は、老齢基礎年金額は繰り下げをした分、増額となりますが、夫に加算されていた加給年金が、妻の老齢基礎年金に加算される「振替加算」については、この部分の増額はなく、本来受給できたはずの2年分は受け取れないことになるところです。
但し、金額の多少に関する感想は個人差があり、単純に老齢基礎年金だけのソントクで判断できません。あくまで長生きした場合有利になることも考慮して検討をする必要があります。


事例3 老齢基礎年金を67歳0ヵ月で繰下げ請求 ・ 夫婦とも国民年金の場合

仮に、繰り下げ請求をしたD子さん(64歳・昭和24年4月2日生・国民年金40年)が67歳0カ月で繰り下げ請求した以降に、夫Cさん(年金受給者・昭和24年4月2日生・国民年金40年)が死亡した場合、年金の受給は下図のようなイメージになります。

寿命中位数(表)

夫婦とも国民年金の受給者においては振替加算がないため、「本来もらえるはずものがもらえない」ことはなくなり、老齢基礎年金が繰り下げをした分が増額されて支給されるのみとなります。

事例2と事例3の妻はいずれも国民年金に40年加入ですが、配偶者の加入した年金などで受給年金と繰下げ請求の効果は微妙に異なるのが分かりますね。そんな筈ではなかったと後悔しないためにも、わからないときは事前に相談し理解して納得してから手続きが基本です。

寿命中位数(表)

繰下げ請求の一口メモ
加給年金を受けることができる人が老齢厚生年金を66歳以降に繰り下げると、繰下げた期間加給年金も支給されません。あわせて加給年金(昭和18年4月2日以降生・平成25年9月まで393,200円)の増額はありません。
厚生年金基金に加入した人が老齢厚生年金を66歳以降に繰下げ請求した場合、基金(代行部分)も同時に繰下げ請求(基金への手続きが必要)します。繰上げ請求した場合も同じしくみです。
繰下げた年金を受け取るには、70歳になるまでに請求が必要です
繰下げた年金は、請求をした翌月分から支給されます。
現在、増額率は70歳以降42%(60ヵ月×0.7%)で固定され、請求遅れの損失が大きくなります。

平成25年度は、届く書類、請求時期も変わる

上記は比較的基本的なしくみですが、それでも意外と知られていません。あわせて25年度から年金の受給開始年齢が変わるので注意が必要です。これまで年金の受給資格を満たし厚生年金期間が1年以上ある60歳の人に誕生月の3ヵ月前に印字された年金請求書が同封された黄緑色の封筒が届いていました。
しかし、平成25年度中に60歳になる男性(昭和28年4月2日から29年4月1日生)には、まず60歳になる3ヵ月前に「老齢年金のお知らせ」のハガキが届き、その後61歳になる3ヵ月前に黄緑色の封筒が届きます。

日本年金機構から届くハガキや封筒の中身は、しっかり読みこなしたいね。

繰り下げ請求や繰上げ請求など、本来の受け取り方と異なる受け取り方を利用される場合は、慎重にしましょう。
特に平成25年度は男性の厚生年金の受給開始年齢が始めて61歳になります。60歳以降働き続ける人の増加が予想されますが、人によっては61歳からの年金を61歳前は繰り上げて請求する人もいるでしょう。61歳前に繰り上げて請求する場合は、これまでのように60歳時の3ヶ月前に届く印字された年金請求書は届きませんので、年金事務所等にある青色の年金請求書で請求します。
請求のしかたなどが、わからないときは、遠慮なく年金事務所や街角の年金相談センターに届いた書類持参で相談するといいでしょう。


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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