セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第46回:高齢期の雇用環境が変わる!
      〜 高齢期もイキイキ暮らすために、 自分を変えるチャンス

2015年は少子高齢化対策が医療・介護・年金などの分野で具体的に動き出す年。特に収入が一定以上ある高齢者の負担増が予想されますが、視点を変えれば悪いことばかりではありません。なぜなら、高齢者自身と高齢者を取り巻く社会も変わってきているからです。かつ、一口に高齢者と言ってもその実態は横並びではありません。相談の現場でもお元気で前向きな考え方の高齢者に接することも増えました。男女を問わず働く高齢者が増えている・・・が私の実感です。

一般的に高齢者は支えられる側の認識で捉えられがちですが、最近はお元気な高齢者も増え支える側になりたい人も増えてきました。何より働く環境も変わってきました。その気なら、気力と体力と経験を活かし貴重な働き手になれるのです。
今回は、セカンドライフをイキイキ暮らすための参考資料として、現在の実態・統計などお知らせします。

 60歳定年で完全リタイアの悠々自適もいいけれど、働く時間を少し減らし、働き方の合間に、趣味のある人生を楽しむのもいいね。


希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は71.0%(対前年比4.5%増)

厚生労働省は、高齢者が年齢にかかわりなく生涯現役で働き続けることができる社会を目指し、企業に「高年齢者雇用確保措置」をとるよう義務づけ、企業に雇用状況の報告を求めています。その統計によれば、措置の実施済は中小企業で98.0%(前年比6.1%増)、大企業99.5%(前年比3.9%増)と、高齢者がその気になれば働ける環境は整いつつあります。とは言いつつ、雇用確保措置の内訳でみると、定年制の廃止や定年の引き上げではなく、継続雇用制度による企業の比率が高いことが分かります。

年齢でみると、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は71.0%(対前年比4.5%増)、企業別では、中小企業では73.2%(前年比4.7%増)、大企業では51.9%(前年比3.0%増)。70歳以上まで働ける企業の割合は19.0%(前年比0.8%増)、大企業では11.8%(前年比0.8%増)。いずれも中小企業の方が長くまで働ける可能性があるのが分かります。なお、都道府県別では、地域の特殊性や年齢構成などもあり地方の方が長く働ける可能性も見えてきます。

相談の現場でも、中小企業で働く人は65歳以降もかなりな給与で働く人も増えています。
その会社になくてはならない人になっているのでしょう。会社に頼りにされ収入も多いとは羨ましい限り。但し、仕事はそれなりにきついので退職したいと考える人もいます。中々思いどおりにはいかないものですね。


雇用確保措置の内訳

希望者全員が65歳以上まで働ける企業

70歳以上まで働ける企業

【希望者全員が働ける年齢別・都道府県別の企業の割合

  65歳以上まで 70歳以上まで
ベスト3 岩手82.3% 大分81.8% 秋田79.9% 秋田27.5% 富山26.9% 島根25.5%
ワースト3 佐賀64.4% 愛媛65.2%
東京65.2%
大阪66.3% 東京15.0% 山形15.5% 栃木16.0%

※図・表は、全て 厚生労働省 高年齢者の雇用状況 平成26年


働く壁は自分の心にありそう! 〜制約がなくなる高齢期こそ、壁はどんどん壊して気楽に…

少子高齢化の進展から見えてきたことは、本人がその気になれば働き方の多様化の道が開かれたことですが、意外と私たち自身では気づいていないということ。それは会社員などに扶養されている妻が税負担を減らすため103万円の範囲内、または厚生年金と健康保険に加入せず130万円の範囲内で働く選択と似ています。時代と共に制度はどんどん変わるのに、今の制度はそのまま続くと仮定して、自身は変わろうとせず、目先のトクする方法ばかり模索する人が多いのが残念です。

退職間際の人などでもよくあるのが、高齢期働いて税金や社会保険料を払いたくない、働くと年金が一部または全額支給停止になるのがイヤなど働かない理由にしがち。
退職即バラ色の生活を夢見ているようですが、退職後も日常生活が延々と続くイメージができていない人も多そうです。長い1日を飽きずに自分らしく過ごせるプランがあれば、それはそれで良いのですが・・・
そうは言いつつ、年金の支給開始年齢の引き上げもありこれからは働かざるを得ないのも現実。社会の変化をチャンスと捉えるなら、自身で少し思考回路を変えてみればまた違った道が開けてきそうです。

例えば、働ける期間が長くなるなら、1つの仕事を定年まで勤めた後、今までと異なる仕事にトライするのもいいでしょう。または、1つの会社で定年まで勤めるのではなく、同じ職で蘊奥(うんおう)を極めるために転職するのもいいでしょう。人生二毛作というわけです。


社会の変化をチャンスにするには、自身も変わろうとすることがコツ。「夢は思わなければ叶わない」とは、昔、私が若い友人から教えてもらった言葉。高齢期だってどんどん羽ばたいて欲しい…


働き方は様々 〜自分がやりたいようにやる!

企業など退職してわかるのが、かつての仕事仲間とは時とともに交流が薄くなるということ。単に仕事で繋がっていただけということを知らされる厳しい現実です。取得した資格で起業してもいいし、違う分野で働くのもいいでしょう。継続雇用で働きながら無償ボランティアに取り組むのもいいでしょう。収入があればこそ続けられる分野です。

高齢期は家族を養う必要がある若い頃と異なり、ある程度の備えさえあれば、一般的にやりたいようにできる時期です。だからこそ「高齢期」に自分らしく働きたいなら、備えは早いうちからが基本です。高齢期のイキイキ生活も、若いころからの体力・知力・気力・経済力・人間力などの準備あってこそだと知っておきましょう。 私なども自営業者ですが、元気なうちはできる限り働きたいと思っています。特に同業の90代の先輩にお会いする度、その気持ちが益々高くなっています。私たち熟年が働く姿を見れば、若い世代も夢が持てそうです。但し、引き際は個人の能力・体力差もあり難しい問題と肝に命じています。

<高齢期、働くことが私たちに与えてくれる主な喜びは以下のとおり>
  1. 働く生活のリズムが健康的な生活習慣を作る。
  2. 人との出会いで脳が活性化する。
  3. 人と出会うことで、自分の立ち位置と限界が分かり謙虚になれる。
  4. 就労収入で個人の収入と国の税収入が増える。
  5. 就労収入で購買力も増え、経済効果が増える。
  6. 健康寿命期間を伸ばせば、国の介護・医療の給付費も減少する。
  7. 高齢でも働くのが当たり前の社会が、次世代の雇用環境づくりに役立つ。
  8. 高齢期の働き方はメリハリをつけることで、逆に隙間時間を真に楽しめる。
  9. 人の役に立っている実感が満足感となり、感謝の心が生まれる。

私たちを取り巻く環境は今後もめまぐるしく変わるでしょう。環境の変化を敏感にうけ止めて、将来本当にありたい自分で決めた1本道を貫くために、今を重ねていただけたら幸いです。長くなった人生を最期まで楽しんでいくために…


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)、『認知症マネー まるわかりガイド』(相続・後見マネー塾 (共著) アールズ出版)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

ページの先頭へ

Copyright(C) NTT IF Corporation