セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第47回:女性って結婚して時間がたつと急に強くなるのですね…
      〜 定年後は「夢」と「現実」を使い分ける知恵も必要

年金を含むお金の相談の現場では、ときに相談者の本音が聞こえてきます。先日も優しそうな男性が「女性って結婚して時間がたつと急に強くなるのですね…」と、しみじみつぶやきました。突然のことで私も思わず「皆さん、そうみたいですよ!」と答えてしまいました。むしろ、60歳過ぎて気づいたということは、男性の妻は昔はよっぽど優しい方だったのだなーと、その方が驚きでした。

いろんな方がいますので一概には言えませんが、時間の経過で女性が強くなる傾向を確かに感じます。男女の考え方・感性などの違い、長い夫婦の歴史から学んだ知恵がそうさせたのかもしれません。

今回は、相談から見えてくる、現役時代と定年後におけるお金に対する意識の違いについて考えて見たいと思います。

 妻だって優しいばかりでは生きて行けないのが定年後の暮らし。現実に生きる妻と夢を追う夫の間にはまだまだ段差がありそう!厳しい現実もしっかり見据えながら、夢を追い続けられる工夫がお互い益々求められるね!


妻は年金受給を機に変わった!

男性曰く「妻は結婚してからずっと優しかったのに、夫婦が年金を受給し始めたらお金に敏感になった」とのこと。ご存知のように年金は個人資産です。従って、夫婦でも年金は各自の金融機関の口座に入金されます。しかし、相談者の場合、「これからは、夫婦の年金の管理はすべて妻自身がする」と言われ、先のつぶやきになったようです。あの優しかった妻が豹変して家計の主導権を握ったことに驚くばかり。ちなみに妻は年金を受けながらパートで働いています。退職後の現実に引き戻された男性は、自由になる収入を得るため再就職を考えています。

男性は妻が急に変わったと言いますが、妻の心境の変化に気づいていなかっただけかも知れません。老後が不安だから働き続ける妻の心を知らず、退職後は年金を受け取りながら、預貯金を取り崩せば何とか老後が過ごせると安易に考えていたかもしれません。
確かに現役時は夫が働けば収入がそれなりにあるから暮らせたので、妻も声を荒らげてまでお金に言及しなかったのでしょう。しかし、退職後、年金(報酬比例部分)だけとなった現実に向き合ったとき、キツイことも言わざるを得なかったのです。会社でも家庭でも利益や収入があるうちは丸く収まりますが、なくなるまたは減少すればとかく問題が起こるのは世の常です。定年を境に収入も変化することを意識した、心とお金の備えが早くから必要な理由です。


【妻が年金受給で変わったというけれど、夫は収入の変化による妻の不安を予想していなかった】

妻が年金受給で変わったというけれど、夫は収入の変化による妻の不安を予想していなかった


なお、夫の年金を夫婦の生活費に使うのはよくある例です。専業主婦世帯なら妻の年金も少ないので尚更です。共働き夫婦で年金を受給している我が家の場合、各自で年金を管理、お互い生活に必要なお金を出し合い、出し合ったお金は妻である私が管理しています。2人で話し合い納得すれば、誰が管理するかは問題ではありません。 相談者の妻の経済的不安を取り除き、男性の不満をなくすには、2人でざっくばらんに将来のことなどを話しあいながら収支表を作成して将来を数字で見えるようにするとよいでしょう。

ちなみに、夫婦のお金に関する統計によれば、夫婦の家計は、「別々の口座で管理している」が43%、「2人のお金を複数口座に分けて管理している」と「共通の口座で管理している」がそれぞれ約20%。共働きが多くなり、別々で管理する夫婦が主流になりつつあるようです。


夫婦の家計管理はどうしていますか?

※出典:株式会社マネーフォワード 夫婦のお金に関するアンケート2014より


手間ヒマ惜しまず生活設計をたてよう! 〜話し合い納得して再スタート

長い人生には山あり谷ありが当たり前、ずっとスムーズに平和に暮らせたら儲けものと思うくらいの気持ちでいれば気が楽でしょう。未知の将来に対して誰しもが不安を持っています。そうは言っても人生の節目のイベントは初めから分かっているので、気づいたときから対応方法を話し合っておけばより幸せになれそうです。その意味で生活設計をたてることは大切なことです。例えば、定年などのイベントを心待ちにして迎えるのと、とうとう定年かと迎えるのではその後の暮らし方も違ってきます。

具体的には、これから予想されるライフイベントを考えつつ未来を予測したキャッシュ・フロー表(収支表)を作成しますが、大事なことは夫婦や家族で十分に話し合うことです。特に定年後は今までと収入形態も変わるので管理の仕方や働き方なども含めた話し合いが必要です。ともすれば、預貯金残高ばかりに目が行きますが、生き方上手の高齢者になるポイントは時間をかけた話し合いで納得し、心の満足を得ることです。


【生活設計をたてている人 約4割】 生活設計の有無

生活設計の有無

※出典:生命保険文化センター 平成25年


今のままだと定年後働かないと、介護が必要になってもお金が不足しそうだわ!たまには、おいしいものを食べたいし、旅行にも行きたい。


今、定年世代が抱えている問題は、若い世代の未来に重なります。むしろ雇用や社会保険の環境などを考えるとより厳しくなりそうです。だからこそ、将来課題となりそうなことに気づき取り除いておく努力も大切です。世の中は変わっても人と人との信頼関係は一朝一夕で築けるものではないこと、長い人生を生き抜くにはそれなりの資金計画も大切ということ。年金を含むお金を自分たちのために有効に使えるかどうかは、最終的には自分の心を含めた生き方に関わってきます。まずは、お金のことをタブー視せず、作成した収支表をベースに家族や夫婦で将来のことをトコトン話し合ってみませんか。



執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)、『認知症マネー まるわかりガイド』(相続・後見マネー塾 (共著) アールズ出版)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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