セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第61回:共働き世帯が増加
   〜 リタイアメントプランの視点も変えよう!

   

国は、少子高齢化に直面した我が国の経済活性化策として「一億総活躍社会」を目指しているのは皆さん御存知のとおりです。少子高齢化を少しでも止め、新3本の矢を基に強い経済・子育て支援・安心社会保障を確立し、50年後に人口1億人維持を目標としています。具体的な政策も検討されています。例えば、新・第1の矢では、女性・高齢者・障害者等の活躍促進として、いわゆる103万円、130万円の壁の原因となっている税・社会保険、配偶者手当の制度のあり方が検討されています。新・第3の矢の安心につながる社会保障では、介護離職ゼロ対策として、介護給付休業水準の引き上げ(40%→67%へ)を検討しています。
40代は親の介護と子育ての両方に直面するケースも多いことも配慮しています。今回は制度が変わる今、リタイアメントプランの視点も少し変えてみては?というお話しをしたいと思います。

年々増加している共働き世帯

働き方が多様化している割に税・社会保険制度の改正に人々の意識が追いついていません。一方現実の働き方をみてみると、雇用者の共働き世帯は年々増加しています。昭和55年には専業主婦世帯が共働き世帯の約1.8倍でしたが、平成9年に共働き世帯が逆転してから平成25年には共働き世帯が専業主婦世帯の約1.4倍に増加しました。かつては、専業主婦世帯が一般でしたが、共働き世帯の増加により、税や社会保険のしくみ、働き続けるための子育てや介護支援の内容も変わらざるを得ない時代になりました

高齢者の就業率は、男性29.3%、女性14.3%

平成26年の高齢者の就業者数は前年比45万人増、11年連続の増加で681万人と過去最多となっています。うち65〜69歳の就業率は、男性50.5%、女性30.5%といずれも前年より増えています。なお、15歳以上の就業者総数に占める高齢者の割合は10.7%とこれも過去最高です。

高齢雇用者の7割超は非正規で働き、働く主な理由は、「自分の都合のよい時間に働きたいから31.6%」、「家計の補助・学費等を得たいから20.5%」、「専門的な技能をいかせるから14.9%」と続きます。 又、妻が高齢者の共働き世帯は12年間で2.8倍に増加しています。今後、一億総活躍社会の意味が現役世帯に浸透し、元気高齢者が増えている現状と需要と供給の関係からますます高齢者の働き手が増えそうです。

イメージして気づき、動くことが次に繋がる

とは言いながら、変わる制度が具体的に自分たちの未来にどう影響するかに気づき行動をおこすことは容易ではありません。平成28年10月から短時間労働者の厚生年金適用拡大※1が始まり、働く時間で適用拡大になった場合、以下の人等にも影響します。
例えば、@国民年金の第3号被保険者 (国民年金の第2号被保険者に扶養されている配偶者)は、ほとんどの人が100万円前後の収入で、103万円※2の壁が心理的な壁になって就業調整をしているようです。適用拡大の対象者になれば健康保険・厚生年金の保険料が発生します。
これを自分の能力を高め、将来働き続けるためのキャリア拡大のチャンスと捉えるかどうかは本人の考え方次第。人によっては第3号被保険者がいつまで続くのかと疑問をもつきっかけになるかも知れません。 A定年後厚生年金に加入せず継続雇用で働いている人も、適用拡大の対象になれば厚生年金などの保険料発生。保険料払ってまで働きたくない人もいるでしょう。今の暮らしが一番心地よい人もいるでしょう。そんな迷ったときは、今と将来のソントクを無視し、心のままに突き進むのも一理あります。

103万円※2とは税金の壁です。給与収入のうち103万円(給与所得控除65万円+基礎控除38万円)まで所得税がかかりません。従って仮に妻の給与収入が103万円以下なら、夫の税申告時に配偶者控除38万円が適用されます。一方130万円とは健康保険の被扶養配偶者・国民年金の第3号被保険者になる収入限度額です。
厚生年金適用拡大※1で対象となる人は、130万円の壁が106万円(月8.8万円)になります。今まで国民年金の保険料・健康保険(介護保険含)の保険料など自身で納付していなかった第3号被保険者の負担は増えます。但し、厚生年金加入で自分の年金額は増えます。

心のままに・・

実は、心のままに突き進んだ一例が私です。長い第3号被保険者のときライフプランに興味を持ちファイナンシャルプランナーの資格を取得、このとき勉強した年金が面白くて社会保険労務士の資格を取得。但し、当時年金は仕事(お金)にならないと言われましたが好きで続けました。今では、年金が盛り上がっています。その後高齢者からの相談が増え、判断能力が不十分な人を支援する成年後見制度に興味を持ち、成年後見人等を受任するために2年間の通信教育で社会福祉士の資格を取得。支援する高齢者などと自分の老後と重ねつつ、定期的に訪問を続けています。自分の老後と仕事を兼ね高齢者施設見学も重ねています。
仕事の幅が広いので、苦労も半端ではないけど、今ではすべてが生きがいになっています。結果は後からついてくるが私の正直な感想です。振り返ってみると相談者の依頼内容から世の変化や流れ、時代の風を知らない間に感じた上の心のままだったかも知れません。行動したからこそ身につくことってあるのですね。

以上は第3号被保険者だった私の例ですが、要は、国の将来と自分の将来を具体的にイメージしてみることです。いずれにしても人口減少の中、高齢者が増え子どもの数がそんなに増えない将来、社会活性化には老若男女協力しあうしかありません。働く高齢者が益々増えるでしょう。自分が高齢期になったときどんな暮らしや仕事がしたいのか、今からイメージしてみてはいかがでしょう。そのために今からできること、やりたいことを実践していけばいいと思います。どうせ生きる(働く)なら、時間つぶしに生きる(仕事をする)より、心地良い暮らし(仕事)をした方が楽しいと思うからです。
また、親の介護や自身の健康などから働きたいけど働けない場合は、制度を上手に使うための知識とその場合の社会保険情報の理解も必要です。なお自分の主義から働きたくない、少し働きたい場合は、ゆとり時間を有効に使うスキルの蓄積、生活に困らないだけの資金積み立てなど、それなりの実践とマネープランも重要です。生き方は人それぞれ、ご自分なりのものを選択し実行されるといいでしょう。



執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)、『認知症マネー まるわかりガイド』(相続・後見マネー塾 (共著) アールズ出版)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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