セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第62回:本音は在宅が一番ですが・・・
   〜 高齢者施設選びも経済力次第! 〜

   

介護保険3施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)と異なり、本人が自由に選べる介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)など、いずれも見学すれば分かりますが意外と空き室があります。中には空き室対策として空き室をショートステイとして開放している介護付有料老人ホーム施設もあります。
ただ、空き室があるから入居が簡単にできるかと言えばそうではありません。高齢期ならではの事情や経済的事情、地域でこれまで受けていた介護サービス、情報弱者の立場などから希望どおりに行かないこともあるからです。今回はそれなりに現役世代を送り第3者からみれば比較的ゆとりがある夫婦の場合でお話ししましょう。

有料老人ホームの増加

平成12年に介護保険制度がスタートし、民間企業による運営がしやすくなり、平成18年老人福祉法の改正により有料老人ホームの定義が改められ対象が増えたこと、何より高齢者向け住まいのニーズ拡大により、有料老人ホームの届出数は増加しています。

厚生労働省  平成25年度

有料老人ホームには、介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームなどがあり、介護サービスの有無と受け先などが異なり、介護付有料老人ホームは定員数で過半数を占めています。合わせて、安否確認・生活相談などのサービス提供する、原則25u以上の一定の条件を満たしたサ高住の登録件数の伸び率も脅威的です。

国土交通省

高齢者施設市場は買い手市場〜施設契約はあせらず慎重に

当分の間、高齢者は増加の一途、企業も介護産業に積極的に参加し始め、現実は施設の空き室も相当あります。しかも、民間の施設は、入居一時金や月管理費などコストもかなりかかるため、高齢者誰もが購入できる訳でもありません。そんな訳で第3者的には、「現在、高齢者施設市場は買い手市場」とみていますが、当事者の高齢者が世の実態を分析するのは容易ではありません。 体と判断能力の衰えに不安を抱きつつ、いつかはお世話にならざるを得ない思いで暮らしているときに「日当たりのいい部屋を早めに予約しては?」など焦らせる言葉に即反応する高齢者もいます。
だからこそ、福祉関係者や親族、成年後見人など第3者の日頃の見守りが大切になってきます。本人たちが今何を1番希望しているのかを聞き出した上で、将来的にも経済的に負担可能範囲なのか、そもそも今本当に施設入居が必要なのかなど検討が必要です。

1人入居なら可能でしたが・・・

中でも民間施設入居に関するコスト感覚はとても大事です。寿命も介護も年齢順にこないからです。一般的に年齢が高い夫を在宅または施設入居で介護し、その後妻が夫の遺族年金などで施設費用を支払うケースが多いそうです。しかし、現実には夫婦2人で介護サービスを利用して在宅生活をしてきたが、徐々に限界を感じ始め夫婦2人で民間施設入所も視野に、というケースもあります。
そうなると施設費用も入居一時金2人分、毎月の管理費等も2人分必要となり、 それなりに資産がある人達でも夫婦同時となるとかなりな出費です。 高齢者施設入居が2人にとってベストの選択肢なのか考える事が必要になってくるでしょう。

2人の未来マネープランはどこが失敗だったのでしょう。定年後旅行も十分たのしみ、その時点では家計もそれなりにゆとりがありましたが、唯一の誤算は夫の在宅介護期間が長くなり支援する妻自身の判断能力も衰え始め、マネー管理が十分にできなくなったことです。
旅行等を十分に楽しんだ分、手持ち資金も予定より減少していましたが、 以前のままのやり方で過ごしてしまいすべての支出が大雑把になっていましたが、誰もそのことに気づかずに日が経ちました。 今仮に入居一時金が低額で毎月の管理費など(介護サービス代・生活費等含む)が月30万円くらいはごく一般的な施設ですが、2人同時となるとかなりな出費で誰もが払える金額ではありません。 事例では自宅の売却は考慮していません。上記でも自宅が賃貸でなく売却可能物件ならなんとかなるかもしれません。但し、高齢期の自宅の名義は複雑な例もあるため、其の場合は逆に早めの手当が必要になります。

本人が気づくことは少ない、高齢期の予定外

高齢期、判断能力が不十分になるのはある日突然ではありません。たがらこそ、いろんなミスの重なりも気づきにくいのです。お金の管理が若い時ほどできにくくなるのが高齢期、不安から多くの人が以前より多くの金額を口座から引き出しがち、使途不明金もありそうです。それでもお聞きすると、体が動く間は、家で暮らしたい、夫婦で週に何度かランチを楽しむ今の生活をできるだけ続けたいと話す人もいます。

予定外の支出に対応できない予想外もあることを想定内に入れた上で、判断能力が不十分になって不安だから即施設入居と考えず、火事の恐れ、徘徊などなく、介護サービスを上手に使って在宅生活が経済的にも可能なら、判断能力の状態にもよりますが、夫婦で何とかなるうちはできる限り在宅で暮らすも選択肢の1つかも知れません。 判断能力が不十分な人の場合の施設での生活は一日の生活のメリハリが欠けがちで、食事や入浴時等以外フロアのイスに座り、一日まどろんで時間を過ごしている高齢者たちをみかけます。そんな施設を見る度、在宅で楽しみ方を知っている人なら在宅もいいと個人的に感じています。なお、コスト的にも夫婦同時に介護付有料老人ホーム入居より低額です。 日頃から高齢者のちょっとした変化や話しをお聞きしておくことが役にたちます。ますます高齢者を回りで支援する側のきめ細やかな連携対応が求められそうですね。



執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)、『認知症マネー まるわかりガイド』(相続・後見マネー塾 (共著) アールズ出版)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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