セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第67回:最期を迎えたい場所をイメージするのは容易いが・・・
     〜 団塊ジュニアの老後が厳しそう 〜

9月の3連休の最終日に花火見物を目的に夫婦で熱海に1泊しました。熱海は東京から近いので、これまでも10回以上訪れており、有名観光地はほぼ見学済みなので自分で勝手に路地裏的な道を歩いて小さな発見を楽しんでいます。約1年ぶりの熱海は、以前に比べ若い世代の観光客が増えていました。20代30代の若い世代が多いと街も活気がありますね。

ネットで検索した蕎麦屋に、スマホ片手の若い人々(周りを見ていない?) が長い行列を作っていましたが、店前の順番待ちの名前の記載用紙には5名ほどしか記載されていませんでした。早速名前を記入したことで、11時開店時には即入店できて、さすが熟年者である年の功なのかラッキーでした。
休日明けの翌日もその蕎麦屋の前を通りましたが、若い世代は仕事に戻ったのか店の前は閑散としていました。

観光業者曰く、熱海の人口は約4万人弱、「昔に比べれば観光客も減ったけれど、最近はイベントの有無に関わらず訪れる人も徐々に増えた」と喜んでいました。それでも、黒ずみ崩れそうなホテルの廃墟らしい建物もちらほら見かけました。若者次第で変わる蕎麦屋の行列と街の古い建物は、ひとときの活況とこれから訪れる未来を見るようです。

今回は、団塊の世代が75歳になる2025年(平成37年)以降、高齢者予備軍の団塊ジュニアの老後の厳しさについてお話ししたいと思います。

団塊ジュニア(50歳〜54歳)の老後を世話する人が不足 (2025年時)

団塊の世代が75歳になる2025年(平成37年)の日本の人口構成の予測(総務省統計局)によれば、人口の3.3人に1人が65歳以上、5.5人に1人が75歳以上と予想されています。団塊の世代が後期高齢者になる2025年までが、当面の危機と言えるでしょう。
団塊の世代をお世話している団塊ジュニアを含む2025年の65歳以上の高齢者数は、現在と比較して少なくなるとは言えかなりの人数が控えています。
つまり、本当に怖いのは、団塊世代ジュニアを支える人が年々減少している現実です。
併せて国の政策は「介護・医療を連携しながら住み慣れた地域で暮らす生活」を目指しています。しかし、高齢期に「住み慣れた地域で暮らす」というのは口で言うほど簡単ではありません。

出典 総務省

最期は自宅でと思っていても

1.そのときケアしてくれる親族などがいるか

最期を自宅で迎えるには、一般的に見守る親族がいることが前提です。例えば、在宅ケアクリニックにお世話になっている場合、あくまで医師の支援のもと、家族が自宅で最期までケアし看取りをし、死亡確認を医師がします。医師が看取りをする訳ではありません。つまり、ケアしてくれる親族などがいなければ在宅医療は不可能です。

<参考>在宅医療は患者との契約により定期的に訪問し診療すること。往診は患者の求めに応じて訪問し診療すること。

介護状態の高齢者を自宅で介護するのも大変です。要介護度が重い場合、介護者も高齢なことが多く、最期まで老々在宅介護をするには相当の覚悟が必要です。こちらも、一般的に最期まで在宅で介護する人などがいる前提のお話しです。仮に単身者が最期まで自宅で介護サービスを利用した場合、施設に入居するより費用がかかることもあります。

2.そのとき判断能力があるか

介護付き有料老人ホームなどで、症状が急変して病院に運ばれた後、点滴治療になる場合があります。身寄りがなく、本人の意思をつげられる状態でない場合、自宅に戻ることはほぼ不可能です。「病院は治療するところ」と言うのが理由です。ものの本によると点滴はできる限り避けたいとありますが、この場合余程のことがない限り止められないようです。
点滴はその人の状況により相当長く続くことがあり、その間入院費もかなりかかります。
何より重症になり、何も意思を伝えられない状況で数本の管を体につけている姿を見守るのは辛いです。

3.認知症の場合

多くの高齢者ができる限り自宅で暮らすことを希望しているとと思われますが、判断能力が不十分になる認知症の人の場合、本人の希望が全て叶うとは限りません。薬の管理、火の始末、お金の管理、清潔な暮らしが可能かなど、自宅で暮らすことが本人にとり総合的にベストなのかという判断が必要だからであり、思いだけでは解決できないのです。かつ、最近は関わる親族がいないケースも増え、万が一の場合の損害賠償問題の発生などもあり複雑です。

団塊ジュニアの高齢期、人材不足が気になる!

親を看た後、いずれは自分の老後が待っています。医療・介護などに関する諸々の問題を全部背負いこまないことが大切。単身の場合、自分の後始末は自分で考えるしかなさそうです。イザそのとき、ベストでないけど柔軟性を持った対応ができるよう今からイメージしておきましょう。そして、そのとき役に立つのが、「それなりのお金とそこそこで満足できる割り切り」の心かもしれません。



執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)、『認知症マネー まるわかりガイド』(相続・後見マネー塾 (共著) アールズ出版)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

ページの先頭へ

Copyright(C) NTT IF Corporation