セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第73回:人生100年時代
     〜 リタイア後こそ長期的視野が必須! 〜

最近、50代以上が対象のセミナー依頼が増えています。先日、依頼があったセミナーは「参加者の大半が70代から80代の人です」と主催者から連絡があり、一瞬引き受けていいものか迷いました。なぜなら、数年前に覗いた高齢者向けセミナーで参加者の多くが居眠りしていた光景を目にしたことがあったからです。
私の戸惑いを察したのか、担当者曰く「皆さん、お元気でとても熱心です。暗い話でなく明るく元気に暮らせるヒントが欲しい!」と。主催者側のやる気満々の気迫を受け止め、セミナーを引き受けました。確かに最近は高齢者を年齢だけで一括りにできなくなりました。今回は、長くなった人生を自分らしく快適にどう生きたらいいのか、高齢者である自身が今からできることも含めて考えてみます。

将来の平均寿命は男性84.19歳、女性90.93歳

今から70年前(昭和22年)の平均寿命は、男性50.06歳・女性53.96歳でしたが、今や男性80.50歳・女性86.83歳(平成26年簡易生命表)、男性80.79歳・女性87.05歳と着実に伸びています。同年代に生れた人が90歳を迎える割合は、男性が25.0%(4人に1人)・女性が49.1%(2人に1人)を占めています(平成27年簡易生命表)。なお、2060年には、男性84.19歳・女性90.93歳が予想されています(平成28年度高齢者白書)。
まさに高齢期の満足度は、リタイア後の暮らし方にかかってくる時代になってきました。
高齢期は生きていれば必ず確実に誰にも訪れます。だからこそ環境の変化を敏感に読み取りどうしたら良いのか、これから高齢期を迎える現役世代こそ、人生の先読み能力を身につけて対応していただけると嬉しいです。

<平均寿命の推移と将来推計>

平成28年度 高齢者白書

人生を楽しむため、伝えておきたいこと

(1) 現在80代のA子さんから

私の周りにいる素晴らしい高齢の友人のお話しをします。A子(80代)さんはカラオケ教室の仲間で、発表会ではリサイクルショップで見つけた100円の着物を着てお色気タップリに歌う茶目っ気もあります。明るく自然体で生きているので、年齢より若く見え何も心配事がない気配ですが、実は要介護の配偶者を長年自宅で介護しています。
週何回かはショートステイに預けている間に教室に通い、友人たちと外出又はランチ等を楽しんでいる今時の高齢者です。以下、A子さんから介護に関するメッセージです。

@ 自分の「居場所」があることが大切。
・A子さん曰く「カラオケをやっていてよかった」。
歌う楽しみと新曲を覚えようとする意欲ができ、外出の目標ができ、連絡をとりあい本音で話す友人がいる等で、介護以外の生活が持てること。

A 自分が満足した生活を過ごすことで「愚痴」が少なくなる。
・A子さん曰く、愚痴が少ない人の周りには人も集まってくる。

B 配偶者等の介護が必要になったとき、流れに乗ることも大切。
・A子さん曰く、現実を受け止めて小さなことには拘らず、他の協力も受け入れて介護することも大切。
経済的には施設に入所も可能なのに、責任感が強く自宅に他人を入れたくない等から、A子さんの友人B子さんは15年間1人で配偶者の介護をした結果、自身も介護が必要になり共倒れになってしまったそうです。

C 高齢期こそ、夫婦各々自立し、かつ寄り添って生きるが理想
・A子さん曰く、高齢期こそ夫婦べったりでなく、各々自立しておきたい。
 高齢期の夫婦こそ、各々自分の世界を持っておくと長い高齢期の暮らしが活性化する。いつも夫婦一緒で過ごすのもいいが、イザ1人になったときの喪失感が大きい。ずっといつも一緒より、時々夫婦一緒がいいと。

生活者のプロのA子さんのお話しは、何より納得感がありますね。自宅で介護するときは精一杯配偶者に尽くしながら、それ以外の生活では自分を大切にしつつ楽しむ姿から私も元気をいただいています。何よりイキイキライフのお手本が身近にいらっしゃることが嬉しいです。

(2) リタイア後を余生と考えないで

人生が長くなってきた現在、もはやリタイア後を余生で一括りできません。仮に65歳でリタイアしても90歳まで25年、100年なら35年あります。この期間を無駄にしないためにも、リタイア後の長さを意識した準備が求められます。

長生きのイメージが、さらに人を長生きさせるのでは!

不思議なもので、人生が長くなり当たり前のように80歳、90歳代の人と接することが増えたことが、さらに人々の寿命を長くしている気がします。私なども仕事で支援する人がもうすぐ97歳、96歳、93歳、89歳、87歳等と80代はむしろ若いくらい。知人の90歳の人も元気で「私、死なない気がする」と話します。私も皆さんみたいに長生きできそうの気分になってきました。
しかし、長寿社会になり、長生きなのに年金が減る、介護のお金が大変と心配する人は多いのですが、長生き期間の過ごし方を今からイメージする人が少ないのも現実です。

これからは、リタイア後のマネープランを1つにまとめず、リタイア後の前期@、後期Aのプランニング(上記ライフステージの変化図)をより具体的に立てて実践していく必要がありそうですね。働く期間の延長や様々な働き方、女性の社会進出による働く場所の多様化等大きく変わりそうです。前例にとらわれず自分らしく生きて行ける時代になりつつあります。長生き時代の老後の質は、時代の変化の受け止め方と反応できる行動の温度差でますます生活の格差がでそうですね。

音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)

仲間8名と女性の視点からライフプランテキスト作成後、FPとして独立。
金融機関や行政・企業・組合・矯正施設、ハローワーク等で、ライフプランセミナーや年金セミナー等実施。
年金相談や高齢者施設見学を多数実施すると共に、成年後見人等を複数受任し啓蒙セミナーを実施。 専ら、現場主義を貫き人との対話を大切に活動中。
主な執筆歴  読売新聞に「音川敏枝の家計塾」 日経新聞コラム 「社会保障ミステリー」
主な著書に 「年金計算トレーニング BOOK」 ビジネス教育出版  他
HP: http://www.cyottoiwasete.jp/

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