セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第74回:現役時代の延長上にリタイアメントプランがある
     〜 今を丁寧に生きる 〜

ものの本によれば「リタイアメントプランとは、人生後半期ないし退職後のプラン」とあり、働き盛りの現役世代のライフプランと分けています。最近は、考え方も多様化し、高齢期を前向きに積極的に生きたいと考える人もジワジワ増えています。ただ、高齢期の夢を叶える手段としてのマネープランは、相変わらず現役時代の就労収入から、公的年金・金融資産・預貯金などを取り崩す生活にシフトする考え方が一般的で、人生を前半と後半に分ける見方です。しかし、最近気づきました。高齢者すべての人が素敵な生き方ができるのではなく、現役時代から、そのときそのときを丁寧に生きてきた積み重ねが、高齢期を生き生きさせていることに。
誰しもいきなり高齢者になるのではありません。逆に言えば、リタイアメントプランの豊かさ・満足度は高齢期だけに関係がある訳ではなく、むしろ現役世代の生き方が影響します。
今回は、私も含めて私の仕事関係の仲間の高齢者についてお話します。なお、満足度は人それぞれなのであくまで参考です。

年齢制限なしの、習慣・趣味・ボランティア・仕事を継続する

高齢期の豊かさは与えられた時間の過ごし方も関係します。キーワードは、何歳でも継続が可能なものを若いうちに見つけて、身につけておくことです。例えば私の場合、

@ 子供のころからの読書(文字)好き。ジャンルは問わないので、少しの時間も退屈せず、友人との話題にも困りません。さらに、必要に迫られて読む仕事関係の難解な「老齢年金受給資格期間10年に短縮」も、未知の知識の習得と受け止められて、楽しい時間を過ごせています。

A 年金相談やセミナーの仕事は会社員などのように定年がなく、依頼次第で継続可能です。まさに年齢制限なしの仕事です。継続にはそれなりに努力が必要ですが、逆にそれが励みになります。

B 学生時代は日々の生活を切り詰めて、アルバイトで貯めたお金で母に着物と帯をプレゼントして喜ばれました。メリハリのあるお金の使い方で家計管理を楽しむ習慣は、高齢期の今も健在です。

現役時代、「今」与えられた仕事をこなすのは当たり前ですが、将来、良い習慣や趣味や仕事がないと自分に何が残るか疑問を持つことも大切です。皆さん、人生は長くなったということは感じていますが、若いときの習慣や生き方で長くなった高齢期の豊かさが変わることを本気で気づいている人は多くはありません。高齢期になってから気づき、行動できる人は、ごく稀ということを知っておきましょう。

今(現役時代)の過ごし方が、未来(高齢期)を決める

高齢期の不安はお金ばかりではありません。心の満足度も関係してきます。お元気で生き生きした生活を送る人と接するのは、誰にとっても幸せなことです。長生き時代で要介護者も増えましたが、生き生き人生の実践の見本は周りを見回すと意外に存在します。その仲間入りをするつもりで、自分を律した生き方の実践も楽しそうですね。

ちなみに60歳以上の高齢者に何歳まで収入を伴う仕事をしたいかの質問 (内閣府 平成26年) に対し、働けるうちはいつまでもが28.9%と多く、ついで65歳までと70歳頃までが各16.6%、就労を希望する高齢者の割合は71.9%でした。皆さん、本音では働きたいのですね。

65歳以上人口に占める65歳以上の雇用者数の割合 ( 総務省 平成27年 ) は上昇傾向にあり、13.5%を占めています。自営業者などを含めると働いている人の割合は増えます。 これからは「一億総活躍」の国の支援もあり、70歳過ぎや、女性もいろんな場面で働く人が増えそうです。

今になって分かる仕事ができる幸せ

私が仕事をしたいと思ったのは、長い専業主婦時代の閉塞感から抜け出したい一心からでした。老後の暮らしの豊かさまで思いは至らず、当時既に世にいう中年でしたので、勤務は無理だろうと資格の取得を目指しました。あれから月日は流れましたが自由に活動できる今の仕事が気に入っています。まさか自分がこんなに長く働くとは思っていませんでしたから、嬉しい予定外です。

資格を取得して一番よかったのは、いろんな業種の素晴らしい人たちに出会えて世界が広がったことです。ファイナンシャルプランナー(FP)と社会保険労務士などの勉強は、仕事をしながらの受験だったので大変でしたが、今となっては頑張って良かったと思います。今の私は仲間との繋がりが生きがいです。

@ ファイナンシャルプランナー仲間
一緒に組んで仕事をしている仲間とは20年近くのつきあいです。私以外すべて男性で最年長は80歳過ぎで未だに現役で仕事を続けており、そのバイタリティに脱帽です。仲間に共通しているのは、人柄が素敵、愚痴なし、前向きなことです。現役時代は皆さんそれなりに過ごしてきた人ばかりですが自慢話はありません。

A 社会保険労務士仲間
障害年金の相談・普及を目的とする会の仲間とはこの2年弱のつきあいです。勉強会などに参加するたびに感じるのは、70代の知識豊富な理事の人たちが一様に誠実で穏やかで、素朴な疑問にも丁寧にアドバイスしてくれます。日常会話に批判がましい言葉はありません。現役時代の自慢話がないのはFPと同じです。
雇用されていたり、自営業者であったり、役員をしていたりなど高齢期の働き方は様々です。高齢期の自分のありたい働き方を一度イメージしてみるのもいいでしょう。現役とリタイアメントプランの時期は繋がっています。だからこそ若いときから仕事をしつつ、並行していろいろ考えておきましょう。長寿時代だからこそ、マネープランに限らず働き方・暮らし方のゴールの姿をイメージして、それに近づくために準備と努力のしがいがある時代になってきました。

音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)

仲間8名と女性の視点からライフプランテキスト作成後、FPとして独立。
金融機関や行政・企業・組合・矯正施設、ハローワーク等で、ライフプランセミナーや年金セミナー等実施。
年金相談や高齢者施設見学を多数実施すると共に、成年後見人等を複数受任し啓蒙セミナーを実施。 専ら、現場主義を貫き人との対話を大切に活動中。
主な執筆歴  読売新聞に「音川敏枝の家計塾」 日経新聞コラム 「社会保障ミステリー」
主な著書に 「年金計算トレーニング BOOK」 ビジネス教育出版  他
HP: http://www.cyottoiwasete.jp/

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