セカンドライフの落とし穴

セカンドライフの落とし穴

第79回:人生100年時代がすぐそこに
〜 公的年金受給開始年齢を70歳より後にできるしくみの検討開始 〜

日本の総人口は21万人減少しましたが65歳以上の高齢者は57万人増加し、総人口に占める高齢者人口の割合は27.7%と過去最高 (総務省統計 平成29年9月15日推計) となりました。本来長寿は嬉しいことですが、国の財政と国民の暮らしを維持できる高齢化に対応できるしくみづくりは待ったなしの段階に入ったようです。

総務省の統計発表の数日前、「内閣府の有識者検討会は公的年金を70歳より後に受給も検討中」とNHKの朝のニュース(平成29年9月13日)で発信されました。誰もが少なからず年金の将来に不安を抱いており、公的年金制度を維持するには減額はやむを得ない?ニュアンスを感じたのは私だけでしょうか※。確実に言えることは、今後年金を受給世代は、現在の高齢者より定年後の暮らしを意識した働き方、お金の管理の仕方、人間力が求められるということでしょう。まさに定年後の暮らしの豊かさは「あなた次第」と言うわけですね。
※その後高齢社会のあり方を検討する内閣府有識者検討会は、公的年金の受給開始年齢を70歳以上に遅らせることも選択できる制度改正の報告書案を大筋で了承した(平成29年10月2日)。政府はこれをもとに新たな「高齢社会対策大綱」を年内に策定する。


100歳以上6万7824人と調査開始以来最高

我が国の総人口は平成23年以降継続して減少し、平成29年9月15日現在1億2671万人(総務省・推計)。65歳以降の高齢者は、昭和25年以降増加が続き、平成29年9月15日現在3514万人(総務省・推計)、うち男性は1525万人、女性は1988万人。人口がゆるやかに減少する中、65歳以上の高齢者が増えており高齢化率は上昇し続けると予想されます。

100歳以上は6万7824人(平成28年は6万5692人)と、平成10年に調査開始時の153人から毎年増え、2050年には53万2000人になると予測されています(国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計)。すさまじい伸び率です。環境の変化を私たちも認識し、高齢化を 生かし楽しむ生き方づくりに取り組む時代が待ったなしで到来した様です

なお、団塊ジュニア世代(昭和46年〜49年生まれ)が65歳以上となる平成52年(2040年)の高齢化率は35.3%になると予想されています。団塊ジュニア世代の危機はより深刻です。
団塊世代はかなりの人数のジュニアが支える側に存在しますが、ジュニア世代を支える世代の人数が減っているからです。セカンドライフの危機だから自分には関係ないと思わず、今から備えは大切でしょう。

公的年金を70歳より後に受給とは

現在、公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、60歳〜70歳の間で選べます。65歳から受給できる年金を65歳前から受給するのを繰り上げ、66歳以降受給するのを繰り下げといいます。繰り下げは1月遅くもらうごとに0.7%増えます。仮に65歳からの年金を5年(60月)遅れの70歳で請求すれば60月×0.7%で42%増えるしくみです。この70歳を70歳以降、例えば75歳にする案もあるようです。

確かに繰り下げ年齢を遅くすれば請求時の年金は増えます。しかし、投資商品の金利や利回り等と異なり、年金ならではの以下のリスクも承知しておきましょう。繰り下げしている間 (待機中) は年金を受給できません。自分のために使える状態か、請求できる状態か(認知症等で請求忘れも?)等も考慮した判断が必要です。寝たきりになってからでは好きなことをしたり、自由に好きなものを食べたりすることはできなくなります。公的年金は自分のために使えてこそのお金です。

何歳まで生きるか、誰にも分からない
本来65歳からの年金を70歳から繰り下げて受給 →  75歳から受給等検討

国民年金の繰り下げ請求率は2%

確かに金額的には月0.7%増える繰り下げ請求は嬉しい制度です。しかし、繰り下げ期間中は年金が受給できないので、それなりにゆとりのある人しかできないのも現実です。現在繰り下げ請求をしている割合は2%とごくわずか。働き方改革が進んでも、どれだけの人が満足のいく恩恵を受けられるか不透明、年金財政の厳しさが益々予想される今後、改正で利用者が増えるかは不透明でしょう。

選択肢を増やせるかは、そのときゆとりがあるかで決まる

内閣府が「70歳以後に公的年金受給を検討」を公にしたということは、今後も年金制度維持に向けたいろいろな提案がでてきそうです。人生100年時代の現実を受け止めて、そのとき慌てないために、早いうちからお金とスキルを増やし心と時間にゆとりを持ちましょう。政策の波に乗るためには、自分は何をすべきかに気づき、生き延びるしたたかさを身につけることが必要な時代になったのかもしれませんね。できるだけ長く働きたい、イキイキ活動したい高齢者にとって楽しみな時代になったとも言えそうです。

<参考.>人生100年時代
長寿100年時代に予測されるのは、80歳程度の平均寿命を前提の教育・仕事・引退の3ステージだけでない、新しい発想からの人生設計が必要と、英国の人材論の世界的権威であるリンダ・グラットン教授が、著書「ライフシフト 〜100年時代の人生戦略」で提案。

音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)

仲間8名と女性の視点からライフプランテキスト作成後、FPとして独立。
金融機関や行政・企業・組合・矯正施設、ハローワーク等で、ライフプランセミナーや年金セミナー等実施。
年金相談や高齢者施設見学を多数実施すると共に、成年後見人等を複数受任し啓蒙セミナーを実施。 専ら、現場主義を貫き人との対話を大切に活動中。
主な執筆歴  読売新聞に「音川敏枝の家計塾」 日経新聞コラム 「社会保障ミステリー」
主な著書に 「年金計算トレーニング BOOK」 ビジネス教育出版  他
HP: http://www.cyottoiwasete.jp/

         

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